情報の価値を考える IBM Lotusphere 2010レポート(4)

長らく更新していなかったが…。Lotusphereの内容を引き続き報告しよう。

基調講演で登壇した、Lotusソフトウェア事業部ゼネラルマネージャーのアリスター・レニー氏は、Lotusシリーズの新作発表のほか、新たな販売支援サービスも発表した。「コラボレーション・アジェンダ」だ。

これは、コラボレーションが社内の業務にどう関わり、どう生かされるのかを示すもの。ユーザー企業が抱える課題を、コラボレーションという側面から解決しようというのだ。例えば、社員がこれまで携わってことのない業界向けの企画書を作成しなければならないとする。このとき、その業界に精通する社員を探し出し、どんな企画書を作成したらよいのかアドバイスしてもらいたいはずだ。だが、どうやってその人を探し出せばいいのか分からない。こんなケースでは、社員の経歴やこれまでどの部署に属していたのかが簡単に調べられればうれしい。そこで、Lotusなら人と人をうなぐ仕組みがあるので有効だ。という流れでコラボーレーション活用によるメリットや効果を示す。


まずは顧客の課題を最優先とし、その先にある解決策の手段としてLotus製品を提案するというアプローチである。「これまではLotus製品の機能を売り込み、企業の課題は二の次だった」(レニー氏)。まずは医療や保険などの4業界にターゲットを絞って展開していく。ここでノウハウを蓄積し、他の業界に展開していくという。

このアプローチは理にかなっている。だが、一番の問題は導入後だ。課題にマッチするLotusのソリューションを用意できたとしよう。それを生かすも殺すも利用するユーザーにかかっている。考えてほしい。社内のグループウェアやソーシャルツールを積極的に活用している社員は全社員の一握り、という企業が大半のはずだ。まずはこの「一握り」をいかに増やすか、そのアプローチをすべきではないだろうか。もちろん企業として売り上げを上げることは必要だ。だが、Lotusにおいては運用支援の強化こそが、他のツールへのリプレース回避につながり、最新バージョンへの移行を促せる。当然IBMとしては、効果的な利用促進を図るための運用支援サービスも用意しているだろうが、導入より運用支援を強化するための施策も必要だろう。

情報の価値を考える IBM Lotusphere 2010レポート(3)

基調講演では新たにLotusソフトウェア事業部のゼネラルマネージャーに就任したアリスター・レニー氏が、前任のピッチャーノ氏とバトンタッチする形で登壇した。レニー氏はLotusシリーズの今年のロードマップを発表。主な製品・サービスの新機能と投入時期を述べた。特にLotusを外出先でも利用する機能として、スマートフォンと連携できる製品の発表が多かった。

「Lotus Quickr」はエクセルやワードなどの文書をスマートフォンで閲覧、編集できる製品(写真参照)。画面は小さく見づらいが、スマートフォンで内容を編集して、再びファイルサーバーにアップできるという。これにより、社内のデスクトップ環境を社外に持ち運んで業務を効率化できるという。


Lotus Notes Traveler」はDominoとiPhoneのスケジュールやメール情報を自動で同期する。これまで暗号化したメールをiPhoneで閲覧できなかったが、今回のバージョンより確認できるようにした。なお、本製品はIBMとしてアップストアで提供する初のアプリになる。

こうした製品を中心に、iPhone版やアンドロイド版などを順次出していく予定だという(※日本語版はまず英語版が先行して提供開始するので、その後の予定)。

携帯向け製品の拡充についてレニー氏は、「社内に戻って情報を調べるのは時間の無駄。社外に自分のデスクトップを持ち出せるようにすることで、時間、業務の効率化と、企業競争力をつけられる」と述べた。「どこでもLotusを利用できるようにするのが今後の目標」とし、スマートフォン向けの機能を強化していく見解を示した。


また、Notes/Dominoを大量採用したユーザー企業の紹介もあった。保険会社のチューリッヒは、現在、Lotus Notesの6.5から新バージョンである8.5への移行を進めている最中だという。新バージョンへの移行にあたり、マイクロソフトの「Outlook」へのリプレイスも検討したが、ソーシャルツールである「Lotus Connections」との連携を視野に入れ、Lotus Notesを採用したという。登壇したチューリッヒのIT担当者は、「レガシーシステムはなかなかなくしづらいシステム。こうしたシステムとの連携は必要で、IBMならセキュリティにも強いことから信頼できる」とし、Lotus Connectionsによるコラボレーションを強化していくことを明らかにした。


自動車メーカーである「GM」も営業担当者へのモバイル活用に新たな価値を見出す。「自動車産業はまさに不況。そんな中、モバイルを利用した新しい営業スタイルの構築を目指す。車の中でもどこでもNotes/Dominoと連携し、どこからでもメールを利用できるようにしたい」とし、Lotusのモバイルとのシームレスな連携強化をIBMに訴えた。

情報の価値を考える IBM Lotusphere 2010レポート(2)

2日目に行われた基調講演には、前Lotusソフトウェア事業部のゼネラルマネージャーであるボブ・ピッチャーノ氏が登壇。情報共有の価値について言及した。
「これまで何度となく情報共有の重要性を説いてきたが、今後もその傾向は続く。情報の肥大化に伴い、情報は埋没する可能性が出てくる。これに対し企業は、全社としてはもちろん、チーム間の情報共有と活用を今こそ見直すべき」と強調した。

続けてスペシャルゲストが登場した。毎年Lotusphereではゲストを招待するのが恒例となっているが、誰が招待されるのかはIBM社内でもごく一部の関係者しか知らないという。今年はアメリカでは絶大な人気を誇るドラマ「スタートレック」のカーク船長役で知られるウィリアム・シャトナー氏が招かれた。

大きな拍手の中迎えれたシャトナー氏は、映画製作におけるコラボレーションの重要性を指摘した。ちょうど世界で公開中の「アバター」を例えに出し、成功の秘密をこう述べた。「映画において一番難しいのはコラボレーション。撮影技師や特殊メイク、衣装係などのさまざまな役割をこなす人たちの絆を強めない限り映画の成功は難しい。アバターはこうしたチーム力の結束が感じられる」と評した。さらに、「何千ものスタッフが関わる映画製作の場合、問題を発見しやすくするのにコラボレーションが必要。多くの人が連携することで脚本家や俳優の才能を引き出すことができる」とし、関係者全体の意思疎通が映画全体の魅力を引き出せる点を声高に訴えた。

シャトナー氏の登壇で一気に熱を帯びてきた聴衆に対し、ピッチャーノ氏がまくしたてる。「今こそコラボレーションを展開するチャンスだ! 新しいテクノロジーを取り入れる企業は勝ち組で、この不況の中でも生き残れる」と述べ、「Lotusによって企業はコラボレーション能力や役割をアップできる。企業のイノベーションを理解できる」とまとめた。

また、現在のLotus Notesの利用状況について、「Notes8以降、新規ユーザーも着実に増えている。これまでに約2万近い新規ユーザーを獲得した」とし、導入事例が芳しくないと思われがちな、Lotus Notesの現状を報告した。

情報の価値を考える IBM Lotusphere 2010レポート(1)

 「情報共有」という言葉をよく聞く。情報を必要とする人に適切な情報が届くようにし、多くの人が情報を活用できるようにすることを指す。特に最近は新聞やテレビのほか、ブログやSNSなど、個人の発言が増え、情報量は肥大化している。そのため、情報の蓄積は進む一方で、必要な情報が見つかりにくい、届かないといった状況が問題となっているのだ。

 災害発生時は、より情報の重要性が増す。インフラが断絶した状態では情報を得ようにも得られないからだ。地震などが発生したあとは、情報の価値が高まることは容易に想像がつく。
 そこで「防災」がテーマである本ブログだが、「情報の価値」という視点での特別レポートをお届けする。

 今回紹介するのは、IBMの年次カンファレンス「Lotusphere 2010」。グループウェアの先駆けである「Lotus」の技術動向やユーザー事例などを発表する場だ。2010年1月17日から21日までの5日間、アメリカのフロリダ州オーランドで開催した本イベントの様子を数回に分けてお届けていく。

ハイチ地震を悪用したオンライン詐欺が急増

シマンテックは2010年1月15日、先日発生したハイチ地震を利用したオンライン詐欺が出現していることを発表した。メール配信により被災者への寄付金を募り、本文中のURLをクリックするとマルウェアに感染してしまうというもの。こうした被害に遭わないために同社では注意を喚起している。

これまでの世界的に大きな事件が発生すると、同様の手口で詐欺やウイルス感染などの被害が出ている。マイケル・ジャクソン死去やサッカー・ワールドカップ開催など、ユーザーの関心が高いイベントをメールで送信。ユーザーの好奇心をあおり、安易にURLをクリックさせてしまうという手口だ。

シマンテックは被害防止策として、以下の注意を呼び掛けている。

・メールやIM(インスタントメッセージ)内に記された怪しいURLを安易にクリックしない

・URLはブラウザのURL蘭に直接入力して開くようにする(URLをコピー&ペーストしない)。

・個人情報や財務情報、パスワードなどを尋ねるメッセージフォームに入力しない(信頼できる慈善団体などの場合、メールで個人情報などを尋ねることはない)。


シマンテック
http://www.symantec.com/ja/jp/index.jsp

テレビ・ネットを通じた防災訓練を開催

ウェザーニューズは2010年1月15日、テレビとインターネットを通じて視聴者とともに防災訓練を実施すると発表した。1月17日(日)放送の「SOLiVE24」の番組内にして開催する。視聴者の減災意識啓発と、地震被害の軽減に努める。

具体的には番組が放送する17時から18時の間に緊急地震速報のテスト電文を流すというもの。揺れが到達する10秒前を想定し、10秒間で何ができるのかを試して視聴者に試してもらう。昨年、同様の試みを実施した際は、行動経路の確保や机やベッドの下に潜るなどの行動が主だった。平均1.8個の何らかの行動をとれたという。

訓練後は実際にどんな行動をしたのかをアンケートとして視聴者より集計。当日の番組内で結果を放送する予定となっている。

携帯サイトとも連携する。サイトでは他の人が実施している減災対策や、被災者の体験談、常備すべき防災グッズなどを確認できる。自身のアイデアを「減災カード」として投稿することで、サイト閲覧者に情報を共有してもらうことも可能だ。


ウェザーニューズ
http://weathernews.com/

SOLiVE24 Ch. - ウェザーニュース
http://weathernews.jp/solive24/

耐火性、デザイン性に優れた半球体状施設「ワンダードーム」

井口インターナショナルは2010年1月15日、耐火機能を備える建築物「ワンダードーム」の販売代理店を募集することを発表した。2月3日に代理店募集における説明会を開催する。

ワンダードームとは同社が研究、開発したドーム型の建築物。表面は小さい三角形の面で構成し、耐火性能に優れるという。工場で生産するため施工工程の簡略化や工期短縮、価格を抑えられるなどのメリットを持つ。

建築基準法により建築制限のかかる地域でも設置できるように配慮した。「防火地域」や「準防火地域」、「法22条地域」など、建築物には建てるエリアによってさまざまな制限がある。特に木造建築物は耐火性の面から厳しい建築条件を満たさなければならない。こうした点に配慮し、ワンダードームは建築制限を受けない構造とし、市街地などにおいてもランドマークとして利用できるようにした。

環境にも配慮し、独自の太陽光発電システムを導入。三角形状のソーラーパネルを活用することで、デザインを崩すことなく、一般家庭の年間総消費量より25%増しの年間6900キロワットの発電が可能だという。

商業施設や文化施設、バスターミナルなどの交通施設など、さまざまな用途での利用を想定する。


井口インターナショナル
http://www.iguchi-in.co.jp/index.html