情報の価値を考える IBM Lotusphere 2010レポート(3)

基調講演では新たにLotusソフトウェア事業部のゼネラルマネージャーに就任したアリスター・レニー氏が、前任のピッチャーノ氏とバトンタッチする形で登壇した。レニー氏はLotusシリーズの今年のロードマップを発表。主な製品・サービスの新機能と投入時期を述べた。特にLotusを外出先でも利用する機能として、スマートフォンと連携できる製品の発表が多かった。

「Lotus Quickr」はエクセルやワードなどの文書をスマートフォンで閲覧、編集できる製品(写真参照)。画面は小さく見づらいが、スマートフォンで内容を編集して、再びファイルサーバーにアップできるという。これにより、社内のデスクトップ環境を社外に持ち運んで業務を効率化できるという。


Lotus Notes Traveler」はDominoとiPhoneのスケジュールやメール情報を自動で同期する。これまで暗号化したメールをiPhoneで閲覧できなかったが、今回のバージョンより確認できるようにした。なお、本製品はIBMとしてアップストアで提供する初のアプリになる。

こうした製品を中心に、iPhone版やアンドロイド版などを順次出していく予定だという(※日本語版はまず英語版が先行して提供開始するので、その後の予定)。

携帯向け製品の拡充についてレニー氏は、「社内に戻って情報を調べるのは時間の無駄。社外に自分のデスクトップを持ち出せるようにすることで、時間、業務の効率化と、企業競争力をつけられる」と述べた。「どこでもLotusを利用できるようにするのが今後の目標」とし、スマートフォン向けの機能を強化していく見解を示した。


また、Notes/Dominoを大量採用したユーザー企業の紹介もあった。保険会社のチューリッヒは、現在、Lotus Notesの6.5から新バージョンである8.5への移行を進めている最中だという。新バージョンへの移行にあたり、マイクロソフトの「Outlook」へのリプレイスも検討したが、ソーシャルツールである「Lotus Connections」との連携を視野に入れ、Lotus Notesを採用したという。登壇したチューリッヒのIT担当者は、「レガシーシステムはなかなかなくしづらいシステム。こうしたシステムとの連携は必要で、IBMならセキュリティにも強いことから信頼できる」とし、Lotus Connectionsによるコラボレーションを強化していくことを明らかにした。


自動車メーカーである「GM」も営業担当者へのモバイル活用に新たな価値を見出す。「自動車産業はまさに不況。そんな中、モバイルを利用した新しい営業スタイルの構築を目指す。車の中でもどこでもNotes/Dominoと連携し、どこからでもメールを利用できるようにしたい」とし、Lotusのモバイルとのシームレスな連携強化をIBMに訴えた。