地質や地形を考慮した地震の揺れを即時に開示

独立行政法人産業技術総合研究所は2009年10月13日、地震の揺れを表示するマップ「QuakeMap」をWebサイト上に公開した。地震後の迅速な情報公開を実現し、自治体や企業のBCP(事業継続計画)、災害時の情報基盤として活用することを想定する。

2種のデータを掛け合わせることでマップを作成する。産業技術総合研究所保有する全国の地盤の揺れやすさを示すデータと、独立行政法人防災科学技術研究所保有する地震観測記録を活用。両データをクラスタリングと呼ぶコンピュータの高速処理技術を使うことで、地震直後に素早く図示できるという。従来の地震計を使った震度測定では地質や地形の違いを把握できないため、地震計のない地点の揺れは近接する地震計が示す震度と必ずしも一致しないという問題があった。

また、自治体ごとなど、限られたエリアの被害状況しか把握できない現状では、全国的な流通網を構える企業や、地方に支店がある企業などは、特定地域の道路断裂状況などの被害を把握できずにいた。QuakeMapでは、250メートル間隔に区切った地質、地形情報を持つ全国版の地図データを活用。広範囲でも詳細な揺れ情報を表示できるようにした。

過去の地震情報を閲覧することも可能。1996年6月以降に発生した主要な地震(約5000個)のデータを分析して地震マップを作成。時系列で地震の揺れを把握できるようアーカイブとして整備している。

今後はさらに迅速な情報開示を進めていく予定。防災科学技術研究所が公開する「即時公開データ」を活用し、地震発生直後に任意の地域の揺れ情報を容易に確認できる環境構築を目指す。人口や建築物、道路などの情報を重ね合わせ、人的、物的などの被害状況も提供していく考えだ。


産業技術総合研究所
http://www.aist.go.jp/

QuakeMap
http://qq.ghz.geogrid.org/